セピア色の風景帖
《セピア色の風景帖》 第九十回 上山市立西郷第二小学校竜沢分校跡
統合により2014年度で閉校した上山市西郷第二小学校。128年の歴史に幕を下ろした同校には竜沢地区に分校があった。
分校をつくるくらいなので、往時にはそれなりの人が生活していたと思われるが、閉校した2005年度の生徒数は2人だったとか。
いかんせん交通の便が悪すぎ、通学、特に冬季のそれは困難を極めたであろう。大人にも同様の事情があり、地区をあげての移住もやむを得なかったと思われる。
建物は小規模ながらも単調な造りに陥らず、昇降口から滑り台を使って降りられるようになっていたり、あえて大胆な配色を施されていたりと、遊び心さえ感じさせるものであった。
入り口には「龍澤公民館」の看板もあり、閉校となってからは地区の集会などに使われていたようだ。地区にはなくてはならない存在だったであろう。
だが、現代ではこのような学校の存在は許されなくなってしまった。寂しいことである。(F)