セピア色の風景帖
《セピア色の風景帖》 第八十回 企業キャラクター人形
「ゆるキャラ」「ご当地キャラ」など今ではキャラクターといえば自治体ものが幅を利かせているが、かつてキャラクターといえば家電や製薬なとの企業が自社の宣伝に使っていたものだ。
街を歩けばいたるところに各種のキャラクター人形が据えられており、子どもたちはキャラクター人形を通して自然に企業名を覚えていった。
松下電器のナショナル坊や、東芝の光速エスパー、佐藤製薬のサトちゃん、「ヘソねえじゃねえか」のコピーで物議をかもしたコルゲンコーワのケロちゃん等々――。
店先に並ぶ人形に加え、販促のため客に配る小さな人形や貯金箱も子ども心をくすぐった。風邪をひいて薬を買ってもらう時、人形つきのものを是非にと親にねだった記憶がある。
人形の中には電動乗り物に仕立てられたものもあり、10円玉をいくつか入れると一定時間動いてくれた。デパートに行かなくても手軽に楽しめる遊具として地味に人気があった。
今でも本町のゴトウ薬局店頭に奇跡的(?)に存在している。(F)