セピア色の風景帖
《セピア色の風景帖》 第七十五回 七日町ジャスコ
今では高層マンションが立つ大沼デパートの北隣にはかつてジャスコがあった。
建設されたのは昭和47年で、地下にヤマザワ、地上にはジャスコとパチンコの毎日会館が入っていた。
子ども向けに設置された2階から1階に降りる滑り台など、それまでの常識に囚われない商業施設として当初は好調を維持していたが、時代が進むにつれ駐車場不足が大きな足かせになっていく。
開業した当時から自家用車の普及率は上がり始めていたが、トータルの台数はさほどではなく、七日町大通りで歩行者天国を催す余裕もあった。
だが昭和50年代半ばごろから休日には待たなければ駐車できないという事態が起き、七日町中心部が徐々に敬遠されるようになっていったのである。
対照的に駅前のダイエーは駐車場対策にぬかりがなく、七日町の凋落を尻目に売り上げを伸ばしていった。
結局、ジャスコは平成5年に七日町から撤退した。山形市民の多くはこの時「ジャスコは潰れた」と思ったものである。まさか後年、七日町や駅前を南北から挟撃するなどとは誰も思ってもみなかったはずである。 (F)