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セピア色の風景帖

《セピア色の風景帖》 第三十二回 映画館

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 国際ドキュメンタリー映画祭が催されることから山形市は「映画の街」と言わるが、それにしてはこの街の映画館の栄枯盛衰は激しすぎる。老舗の映画館で今も営業を続けているところは皆無になってしまった。

《セピア色の風景帖》 第三十二回 映画館

  映画館とシネコンは別物だと思う。映画館とは劇場ともいえるような高い天井を持ち、自分の気分に合わせて座る席を決められるところ。建物は古ければ古いほどいい。低い天井の地下室のようなところで指定席に座らされるシネコンとは何かが違う。
  最も映画館らしいと感じたシネマ旭は稀に活用されているが、スカラ座(旧山形宝塚)は最近解体されたし、ミューズ(旧霞城館)やシネプラッサ(旧銀映)も閉館した。
 山交ビル内にあった山形松竹やセブンプラザ内のシネマイータも今はない。旧県庁前の大映や第二公園内にあった千歳座はとうになくなってしまい、覚えている年配の人も少なくなっている。
  100円未満でDVDがレンタルできる今、映画館の復活を望むのは難しいのだろうが、「ゴジラ」を観に山形宝塚までの路地をワクワクしながら歩いた往時の気分をもう一度味わえる日は来るのだろうか。 (F)

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