山形コミュニティ新聞WEB版

セピア色の風景帖

《セピア色の風景帖》 第十一回 十日町〜本町通り

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 かつて十日町から本町にかけての通りには七日町と同様のアーケードが架かっていた。

*1983年ごろのアーケードの様子

1983年ごろのアーケードの様子

 花笠まつりの際には踊り手が県庁(現在の文翔館)方面に向けてにぎやかに流れていくメインストリートではあったが、普段の雰囲気は七日町に比べるとずっと地味だった。

 古くからの商家や医院の建物が多く街並み自体が落ち着いていたし、軒を連ねる店々も一般客より玄人客を相手にした専門的な商売をしているところが多かったように思う。

 自動車を利用する客が増えるようになってからも一帯には駐車場はほとんどなく、飲食店や流行の物を取り扱う店も現れなかった。七日町のように店舗が頻繁に入れ替わることがなかったため、さながら歴史的建造物の博物館のように大正〜昭和初期の建物が残った。

*1983年ごろ。左の建物は大屋

1983年ごろ。左の建物は大屋

 特にアーケードの上の部分は道路を挟んだ向かい側からは見えるものの、当の店舗を訪れた客には全く見えないということで改装を免れ、往時の姿をそのまま保っていたのであった。

 だが商店街活性化計画のもとで平成元年から数年かけてアーケードが撤去されてしまうと、無改装の建物上部が露わになった。建物の古さを恥ずかしいと思った店主たちの多くは競って改装に励んだり、建物自体の撤去に動いた。

*1988年撮影。現在の佐藤屋付近

1988年撮影。現在の佐藤屋付近

 その結果、通りの両脇には無粋な駐車場の表示があちこちに現れ、街並みの統一感は失われてしまった。     (F)

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