セピア色の風景帖
《セピア色の風景帖》 第七回 七日町十字路
現在のナナビーンズ前の交差点を七日町十字路(七日町四辻)と呼んでいる。県庁が松波に移転した後もここが交通の要所であることに変わりはない。ただ十字路周辺の変遷は大きく、年代によって印象に残っている建物も様々であろう。
▲梅月堂付近(1986年ごろ)
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今はカラオケ店になっている北西側の角には古くは塔のある警察署が大きく構えていたようだが、これが記憶にある人はそう多くはないだろう。
警察署移転後は大映の映画館が建ち、多くの市民を集めた。ここで「座頭市」や「大魔神」などを観た人は、その建物も覚えているかも知れない。
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その南向かいは昭和初期から長い間、レストランを備えた菓子店の老舗「梅月堂」だった。残念ながら廃業してしまったが、当時の建物は今もコーヒーショップとして使われている。
▲山形銀行〜松坂屋間のアーチ広告(1986年ごろ)
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北東側の角は山形銀行が占めている。現在の建物も悪くはないが、山銀の前身である両羽銀行のギリシャ風店舗を懐かしむ声は多い。
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ナナビーンズの前身は記憶に新しい山形松坂屋。サテライトスタジオでラジオ番組の収録などもあった。それ以前は山形交通の待合所だったという。
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山銀と松坂屋の間には「まるは」のアーチ広告が道をまたいで架かっていた。通行車両の限界高を制限してしまうことから、現在では企業広告が道路の上を占有することは少なくなっているが、以前は駅前大通りをはじめ県内のあちこちでネオン仕掛けのアーチ広告が街の顔になっていた。(F)