セピア色の風景帖
《セピア色の風景帖》 第三回 十日町~東原通り
JR山形駅から県庁に向かう通りとして拡幅整備が進められている。すっかり印象の変わった沿道からは移転や廃業で多くの店が姿を消した。
カスカワスポーツ前
移転した店、廃業した店
「一○(いちまる)魚店」「カスカワスポーツ」などは十日町を離れ、郊外の地で健在だが、「積文堂古書店」「焼き鳥鳥成」などは営業をやめた。
現在の大同生命ビルの横にあった小さなギャラリーも撤去され、跡地は歩道になった。
諏訪神社前(昔)
お洒落に変身した店も
「アリカワ家具店」「ヒロシモデル」など、この地にとどまった店は、それぞれ洒落(しゃれ)たつくりになって、以前とはまったく趣の異なった街並みを構成している。
この通りは電車を利用する山大生や南高生にとっての通学路でもある。改修前の通りは看板や電線が重なり合うような雑然とした街並みではあったが、この道を何年も往復したかつての通学生にとっては忘れ難い街並みであろう。
諏訪神社前(現在)
生きながらえた諏訪神社の神木
拡幅工事の際、途中にある諏訪神社の境内の大木を伐採しなければ道が曲がってしまうことがわかり、数本の木の処遇が話題になった。
樹齢500年を超える神木を倒してまで道を真っすぐ延ばしたいものなのかと驚かされる出来事だったが、さすがにためらわれたのか、歩道を広くとり、 そこに木を残すという折衷案に落ち着いた。
辛うじて命びろいしたこの木々だけが以前の街並みの面影をわずかに残している。 (F)