相続の基礎知識/(48)準確定申告
相続が開始すると、相続人は各種手続きから遺産分割、相続税申告などに追われますが、見落としがちになるのが所得税の準確定申告です。
被相続人の申告を代行
所得税の申告が必要な被相続人が亡くなった場合、相続人は被相続人に代わって確定申告をしなければなりません。放っておくと、所得税が発生するようなケースでは延滞税や加算税が課されることもあります。
相続から4カ月以内に
期限は通常の確定申告の3月15日ではなく、相続開始があったことを知った日から4カ月以内です。申告により納付すべき税額があれば相続人が負担しますが、複数の相続人がいる場合は遺産を相続した割合に応じて負担します。
必要な場合の条件
所得税の申告が必要だった被相続人とは、事業所得や不動産所得などがあった人、2000万円以上の給与があった人、2カ所以上の勤務先から給与があった人、公的年金による収入が400万円以上あった人、そのほか一時所得や雑所得があった人、不動産などの譲渡所得があった人などです。
得になるケースも
それ以外の被相続人は所得税の申告は不要で、相続人が準確定申告をする必要もありません。 ただ通常の確定申告と同様、医療費控除や寄附金控除を適用すれば年内に給与収入や年金収入から源泉徴収されていた所得税が還付されることもあり、準確定申告の義務がなくとも手続きをした方が得になります。
こういった還付申告になる場合の期限は特にありませんが、5年以内に手続きをする必要があります。
漏れに注意を
準確定申告で納める所得税は相続税申告上の債務控除の対象になり、還付金は相続財産となります。相続関係での関係各所の手続きは人によって件数も多く複雑になりますが、手続きに漏れがないか確認しましょう。
鈴木僚税理士事務所 税理士
鈴木 僚(すずき りょう)
1988年(昭和63年)山形市生まれ。2018年に税理士資格取得。趣味はドライブ。