相続の基礎知識
相続の基礎知識/(37)教育資金の一括贈与
教育資金の一括贈与非課税制度をご存じでしょうか?
相続税対策にも
この制度は父母、祖父祖母から30歳未満の子、孫に教育資金を一括贈与した場合、1人当たり最大1500万円までなら贈与税がかからないという制度です。
親や祖父母は一定規模の資産を贈与することで相続財産並びに相続税を減少できる一方、上の世代から下の世代へお金をまわすことで経済の活性化に寄与することが期待できます。
26年3月まで期間延長
この制度は2013年にスタート、当初は今年3月までが期限でしたが、「貯蓄から投資へ」の流れを加速させたい政府の方針のもと、23年度の税制改正で26年3月まで延長されることが決まりました。
30歳超えれば課税
利用するうえでの注意点は、贈与を受けた子または孫が30歳になると終了してしまうところです。30歳を超えた際に使い残しがあると贈与税がかかってしまいます。つまり、あくまで教育費として使った分が非課税になる仕組みです。
しかも残高に贈与税がかかる場合、その税率は3月までは「特例税率」が適用されましたが、4月以降に利用する場合は特例税率より高い「一般税率」が適用されます。
手続きに煩わしさ
また、利用するには教育資金を金融機関の専用口座で管理し、教育費の支払い時にも金融機関での手続きが必要です。
専用口座の契約期間中に贈与者が死亡した場合の手続きや課税の有無など手続きがやや煩雑なことも事実です。
制度としては有効?
ただ、慎重な検討や管理の大切さを理解したうえで制度を利用すれば、節税の面からも実利の面からも有効な制度とは言えそうです。
鈴木僚税理士事務所 税理士
鈴木 僚(すずき りょう)
1988年(昭和63年)山形市生まれ。2018年に税理士資格取得。趣味はドライブ。