相続の基礎知識
相続の基礎知識/(25)空き家問題
少子高齢化や核家族化の進展に伴い、全国的に「空き家問題」がクローズアップされています。
相続人に課税
離れて暮らす親が亡くなり、住んでいた家が空き家になった場合、放置していればその所有権は相続人に渡ります。
そうなると相続税(基礎控除額を超える場合)や登録免許税(相続登記)がかかるほか、空き家であっても固定資産税が課せられます。
それだけではなく、住み主のいない家は劣化が早まります。周辺民家への悪影響や犯罪・災害の温床になるといった事態を避けるためにも定期的な清掃や手入れなどが必要になってきます。
賃貸・売却も困難
もちろん、空き家にしないためには賃貸に出したり、売却できれば問題はないのでしょうが、多くは家の老朽化が進んでおり、リフォームの施しようがないというケースが少なくないようです。
また売却できたとしても譲渡所得が発生し、今度は所得税・住民税の納税が必要になることもあります。
安裏な相続放棄は×
かといって空き家問題から逃れるため、短兵急に相続放棄をすることは得策ではありません。
相続放棄はその他のプラスの財産も引き継げなくなるほか、前号でも触れたように、相続放棄をしても相続財産管理人を選任するまで空き家の管理責任は残るからです。
早めに検討を
これらのことを総合的に勘案し、空き家になりそうな家に関しては相続の前からその処分や利用について検討しておくことも必要でしょう。
例えば、先ほど売却する場合は譲渡所得の対象になると紹介しましたが、所定の要件を満たせば譲渡所得のうち3000万円までは無税になる特例もあります。
ただ、その要件たるや「複雑怪奇」ですので、専門家に相談されることをお勧めします。
鈴木僚税理士事務所 税理士
鈴木 僚(すずき りょう)
1988年(昭和63年)山形市生まれ。2018年に税理士資格取得。趣味はドライブ。