相続の基礎知識
相続の基礎知識/(13)相続税の申告
家族などが亡くなって相続が開始した時、相続税が発生する場合は税務署に「相続税申告書」を提出する必要があり、申告期限は相続開始を知った日から10カ月以内と決められています。
10カ月超えれば罰則も
相続税の申告義務があるのに期限内に申告しない場合、様々な罰金を科せられてしまいます。相続税はそれ自体の金額が大きいうえ、罰金まで課せられると相当な負担になってきます。
申告期限を1日でも過ぎると翌日から延滞税が科されるほか、正しく申告しないと、ケースによっては過小申告加算税や重加算税などが科せられる場合もあります。
遺産分割が前提
相続人が1人なら話は簡単ですが、厄介なのは相続人が複数いて、遺産分割協議が難航するケースです。相続税申告書を提出する際には遺産分割協議書を添えるのが通例で、10カ月以内に遺産分割が終わっていない場合でも申告期限が延長されることはありません。
分割協議がまとまらないと相続税の計算上、不利になることが多々あるので要注意です。
特例が受けられない
具体的には、以前にご紹介した「配偶者の税額軽減」「小規模宅地等の評価減の特例」「相続税の物納の特例」「農地の納税猶予の特例」などの優遇措置が受けられなくなります。
つまり、特例を受ける前の多い税額を納付することになるわけです。
専門家に相談を
やむを得ず未分割のまま申告をする場合、「3年以内に完了する」との見込書を添付すれば、分割終了後に余分に納付した税額の還付を受けとれますが、申告時の負担を考えれば期限内に分割協議を終えるのが理想。
必ずしもすべての相続がスムーズにいくわけではありませんので、不安がある人は事前に専門家に相談することをお勧めします。
鈴木僚税理士事務所 税理士
鈴木 僚(すずき りょう)
1988年(昭和63年)山形市生まれ。2018年に税理士資格取得。趣味はドライブ。