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相続の基礎知識

相続の基礎知識/(31)承継できる財産とできない財産

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 相続が発生すると、被相続人に帰属していた財産は相続人に包括承継されます。財産にはプラスの財産(資産)とマイナスの財産(負債)がありますが、それらとは別に、そもそも承継できない財産もあります。

一身専属権とは

 その代表的なものが「一身専属権」です。一身専属権とは当該権利者以外には移転しない権利のことで、民法上、被相続人の一身専属権は相続の対象にはならないと定められています。
 例えば、親権、扶養請求権、財産分与請求権、生活保護法に基づく保護受給権代理権、使用貸借における借主の地位、組合員の地位などが挙げられます。
 相続人であってもこれらの権利は承継できず、法的には消失してしまうことになります。

生命保険も承継不可

 

 一身専属権以外にも権利の性質上、相続財産に属さないとされる権利があります。生命保険金は、受取人が被相続人自身ではない場合は相続財産にはなりません。
 死亡退職金も一般的には相続財産にはなりませんが、退職金規定の内容によっては相続財産になる場合もあります。

お墓や位牌、仏壇も

 お墓や位牌、仏壇、家系図といったものは「祭祀」と呼ばれ、こちらも相続財産には属しません。民法上は祭祀主宰者に帰属するとされています。
 祭祀主宰者は(1)慣習(2)被相続人の指定(3)家庭裁判所の審判――などで定められます。
 遺体や遺骨も祭祀と同様、基本的には慣習上の祭祀主宰者に帰属するとされます。

専門家に相談を

 相続手続きを進めるなかで、相続財産の取扱いや祭祀承継についても問題になることも多いと思われます。
 お悩みの方は専門家へ相談されることをお勧めします。

遠藤直樹法律事務所 弁護士

遠藤 直樹(えんどう なおき)

1985年(昭和60年)山形市生まれ。2014年に司法修習修了。趣味は釣り。山形県弁護士会所属。

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