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相続の基礎知識

相続の基礎知識/(26)相続人不存在

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 今回は、亡くなった人に相続人がいない場合、残された財産はどうなるのかについて考えます。

相続財産管理人が選任

 相続人のあることが明らかでない状態を「相続人不存在」といいます。そもそも相続人が1人もいない場合や、相続人がいても全員が相続放棄した場合が該当します。
 相続人不存在のケースでは、相続財産はいわば〝宙に浮いたまま〟になるため、家庭裁判所が利害関係者や検察官の請求を踏まえて「相続財産管理人」を選任します。
 相続財産管理人には主に弁護士や司法書士が選ばれ、相続財産を管理するとともに、念のために官報などを通じて出現可能性のある相続人の捜索を行います。

特別縁故者への分与

 

 相続財産管理人が捜索しても相続人が現れない場合、相続人不存在が確定しますが、家裁の判断により「特別縁故者」への分与が認められることがあります。
 特別縁故者とは①被相続人と生計を同じくしていた者②被相続人の療養看護に努めた者③被相続人と特別の縁故があった者――の3類型です。
 特別縁故者に該当するか、該当したとしてどれだけ分与があるかについては家裁の裁量に委ねられます。

最終的には国庫へ

 相続財産管理人は相続財産の範囲内で特別縁故者への分与や、請求の申し出が認められた債権者への弁済を行い、残った相続財産を法律にのっとって国庫に納めます。
 ちなみに、一連の業務にあたる相続財産管理人の選任数は2万人超に達しており、少子高齢化を背景に相続人不存在が増えていることを如実に示しています。

専門家に相談を

 最後に、相続財産管理人の選任や特別縁故者への財産分与は家裁での手続きが必要です。
 お悩みの方は専門家へ相談されることをお勧めします。

遠藤直樹法律事務所 弁護士

遠藤 直樹(えんどう なおき)

1985年(昭和60年)山形市生まれ。2014年に司法修習修了。趣味は釣り。山形県弁護士会所属。

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