相続の基礎知識
相続の基礎知識/(06)不動産相続登記
相続財産に土地などの不動産がある場合、相続登記が義務付けられたのをご存知ですか?
3年後に義務化
相続登記とは、不動産の名義を被相続人(亡くなった人)から相続人に変更する手続きです。従来は相続登記は任意でしたが、今年4月の国会で相続登記を義務化する法案が可決され、2024年4月1日から施行されることになったのです。
これにより、相続人は自分が不動産を相続したことを知ってから3年以内に相続登記をしなければならない義務が生じることになりました。
正当な理由なく期限内に行わないと10万円以内の過料が課される可能性があるので要注意です。
相続人申告制度も新設
相続人が複数いて、3年以内に誰が相続するか、つまり遺産分割協議がまとまれば問題はないのですが、協議がまとまらず、3年以内に相続登記ができない場合もあるでしょう。
そんな事態を想定して法務局に相続人を申し出る「相続人申告登記」制度も新設され、この手続きを行えば義務を果たしたとみなされます。
狙いは所有者の把握
なぜ相続登記が義務化されたかというと、全国には所有者不明の土地が多く、管理の不備で土砂の流出がおきたり、災害時の復興用地の買収に手間取るといった問題が生じているからです。
土地だけでなく、空き家など建物の所有者が不明な場合も多く、深刻化する〝空き家問題〟を解消する狙いもあります。
心当たりがある方は
18年の総務省の統計では、山形県の持ち家率は74・9%と全国3位の高さで、遺産の中に不動産が含まれているケースは多いと思われます。
現時点で義務化はされていませんが、心当たりのある方や、ご自分での手続きに不安のある方は早めに司法書士に相談することをお勧めします。
司法書士
遠藤 和法(えんどう かずのり)
1988年(昭和63年)天童市生まれ。2011年に司法書士資格取得。趣味はウイスキー。