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相続の基礎知識

相続の基礎知識/(43)生前贈与と相続

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 過去にも何度か取り上げてきましたが、今回は生前贈与後に相続が発生した場合(=被相続人が死亡した場合)の諸ケースを考えてみましょう。

生前贈与加算の期間延長

 まず生前贈与を相続税の対象財産に加算する期間が現在の「相続開始(死亡)前3年以内」から来年1月以降は「相続開始前7年以内」に延長されることは前回も触れました。
 ただ緩和措置として、延長された4年間に受けた贈与は100万円が控除され、相続財産に加算されません。

孫などは適用外

 生前贈与加算は贈与を受けた人が相続財産を取得した場合に限られます。つまり相続や遺言などで財産を受け取る相続人や受遺者などに限られ、これらに該当しない孫などは生前贈与加算は適用されません。
 また生前贈与について贈与税を納付している場合は、その贈与税額が相続税から控除され、実質は相続税だけの負担となります。ですので贈与税も相続税も取られるという不条理は生じません。

非課税枠の扱いは?

 では、特例を含め非課税とされる贈与財産はどうなるのでしょうか?
 原則として生前贈与加算の対象にはなりません。住宅取得等資金の非課税、教育資金の一括贈与の非課税、結婚・子育て資金の一括贈与の非課税など特例制度を適用した非課税枠などが該当します。贈与税の配偶者控除(おしどり贈与)の控除額も同様です。
 ただ、教育資金の一括贈与は相続開始時に贈与された人が23歳以上だったり、在学中でない場合の使っていない教育資金の残高は加算されます。結婚・子育て資金の一括贈与も使っていない資金の残高は加算されます。

専門家に相談を

 このほか、生前贈与に関しては細かな取り決めや注意点もありますので、専門家に相談することをお勧めします。

鈴木僚税理士事務所 税理士

鈴木 僚(すずき りょう)

1988年(昭和63年)山形市生まれ。2018年に税理士資格取得。趣味はドライブ。

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