相続の基礎知識
相続の基礎知識/(49)遺贈
あなたが亡くなったとして、遺産は原則として配偶者、子ども、親、兄弟姉妹などの法定相続人が継承します。では、それ以外の人やボランティア団体などに継承させたい場合は、どのようにすればいいのでしょうか?
相続人以外に遺産を
そんな場合に利用できるのが「遺贈」の仕組みです。遺贈には特定遺贈と包括遺贈があります。
特定遺贈は「現金〇〇万円」「××銀行の預金」など遺産を個別に指定するやり方で、包括遺贈は遺産の全部、一部を指定するやり方です。
どちらも一長一短がありますが、包括遺贈だと遺贈を受ける人が借金など負の遺産を継承することも考えられるので注意が必要です。
遺言書の作成
遺贈をするには遺言書にその旨を記載する必要があります。遺言書には公正証書遺言と自筆証書遺言の2種類があります。
自筆証書遺言は費用がかからず手軽に作成できますが、内容が曖昧だったり、記載に不備があったりすると法的に有効とみなされないこともあります。
一方、公正証書遺言は法律の専門家である公証人が作成するので無効になることはまずありません。数万円程度の費用はかかりますが、遺言の効力発生後の手続きを円滑に行うためにもこちらがお勧めです。
遺留分に注意
法定相続人がいる場合、遺贈で忘れてならないのは「遺留分」です。遺留分とは配偶者、子ども、親、孫に与えられた相続財産の割合で、兄弟姉妹には遺留分はありません。
もし遺留分を超えて遺贈してしまうと、相続人が請求した場合は遺贈の一部が遺留分として認められることになります。
専門家に相談を
このように遺贈は一般的な遺言より留意が必要な点が多々あり、専門家に相談されることをお勧めします。
鈴木僚税理士事務所 税理士
鈴木 僚(すずき りょう)
1988年(昭和63年)山形市生まれ。2018年に税理士資格取得。趣味はドライブ。